診断士一次試験インタビュー|TAC一本で突破した“基礎反復”の学習戦略
「自分はこのまま、ビジネスパーソンとして通用するのか?」
都内百貨店でマーケティングのキャリアを積みながらも、どこか拭えない不安を感じていたすぎぞーさん。その危機感から彼が選んだ道は、経営の総合力を磨く中小企業診断士への挑戦でした。
しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。4年に及ぶ受験期間、2回目の二次試験不合格による一次試験からの再スタート。何度も壁にぶつかりながらも、彼は「予備校と心中する」という徹底した学習戦略と、情報の海に溺れない強い意志で道を切り拓いていきます。
全3回のインタビュー。第1回となる今回は、診断士を目指したきっかけから、効率よりも「基本の反復」を重視した一次試験の突破法、そして合格後に変化したキャリア観について詳しくお話を伺いました。
自己紹介:30代で“物足りなさ”に気づいた瞬間
――まずは自己紹介をお願いします。
すぎぞー:
すぎぞーと申します。よろしくお願いします。
新卒から百貨店に12年間勤務(診断士の受験期間も)し、マーケティング・プロモーション領域の仕事を中心にキャリアを積んできました。
現在は、某通信会社で約1億人の会員データやID-POSデータ、全国の小売店販売データや消費者購買データなどを活用した、流通小売業や飲食業へのコンサルティングに従事しています。
三十歳を迎えた頃、ふと「自分はこのままビジネスパーソンとして通用するのか?」という不安があったんですよね。
百貨店は伝統的で、良く言えば歴史がある一方で、悪く言えば変化がゆっくり。社外の人と見比べてみると幅広いスキルを持つ人が多くて、自分もビジネスパーソンとしての総合力を磨きたいと思ったのが中小企業診断士を目指した大きな理由です。
――合格まで何年かかったのでしょうか。
すぎぞー:4年間です。
令和2年に受験を始めて、1年目は一次試験ストレート合格、二次試験で落ちて…
2年目も二次試験で落ちて一次試験からからやり直しになってしまいました。
3年目にまた一次試験をストレート合格、でもまた二次試験で不合格。
4年目にやっと二次試験を突破しました。
登録は令和6年7月で、現在は企業内診断士としてSTC実務従事のサブ講師・セミナー登壇・大学でのゲスト講師・東京都の事業参画などに従事しています。
東京都中小企業診断士協会では城西支部の広報部に所属していて、HP更新や支部の機関誌制作にも関わっています。
合格直後は、「独立しよう!」と思っていた時期もありましたけど、今は本業と診断士活動の“往復”で成長して行きたいと思っています。

学習の原点:「まずは総合力」― MBAか?診断士か?
――当初はMBAも検討していたと伺いました。
すぎぞー:
そうなんです。ただ、自分が求めていたのは「経営の深掘り」よりも、7科目レベルの総合力だったんですよね。
社外研修で外部のビジネススクール講座に参加して外の世界に触れると、「みんな知識あるな…自分このままで大丈夫?」って思ったんです。
――資格を取ったら独立するつもりだった?
すぎぞー:最初は本気で思ってました。「合格したら独立して自由気ままに働けるんだ」くらい能天気でした(笑)
でも、実際にたくさんの診断士の方と話して、“本業×診断士”の相乗効果で実力を磨かれている先輩方を見て考えが変わりました。
焦らず、社会人としても診断士としても経験を積み上げていきたいなと。
一次試験対策:効率より「信じ切る」方が自分には合った
――1回目の一次試験はストレート合格でした。どんな勉強方法でしたか?
すぎぞー:
独学ではなく、業界最大手である資格の学校TACに通っていました。
勉強方法は TAC一本です。
自分は器用じゃないし、情報に振り回されてしまうタイプなので、
「この予備校のやり方を信じて心中する」って決めました。
- 教材:TACテキスト、TAC模試、過去問
- 勉強時間:TACの授業を含めて、月50時間前後
- 戦略:苦手科目はオンライン講義を何周も聞く/過去問を繰り返し解き続ける
特に 財務と経済が苦手で。
財務は講義→Web講義→復習を4〜5周は回しました。
「理解できてないと進めない感覚」があったので、ひたすら繰り返しですね。
――試験直前はどう過ごしましたか?
すぎぞー:TACが配布していた直前まとめテキストがあって、そこに自分の“引っかかるポイント”を全部書き込みました。
決めたノート以外は開かない。
最後の1〜2週間は「ブレない、浮気しない」です。
――1回目の一次試験の結果は?
合計498点で通りました。
内訳は経済が80点だったのも大きかったですが、7科目全てで60点以上を獲得しました。
全体としては「取りこぼしを減らす積み上げ」の感覚で、
自分としては“上振れ”というより、やるべきことを積んだ結果という印象ですね。
3年目で変えた“一次試験の戦略”:合格に必要な点を確実に
――3年目に再度一次試験を受けたときは戦い方が変わりました?
すぎぞー:はい、二次試験を見据えて一次試験に全振りしない戦略にしました。
得意/不得意を割り切り、「点を落としてもいい科目」と「絶対に取る科目」を分ける。
例として…
- 経済:苦手 → TACテキストのA判定のポイント中心、絶対に獲得すべき単元を確実に得点する
- 暗記系:得意 → 70点を狙って確実に取る
- 全体:二次試験で使うこともあり、財務・企業経営・運営は比較的点数が安定していたので、60点を下回らないようにコントロール
結果、471点で合格。経済だけが44点と足切りギリギリでしたが、暗記科目は全部70点以上(法務72、情報80点、中小81)でした。
ギリギリを攻めたけど、狙い通りでした。
一次試験で大切だった“2つのこと”
――一次突破の鍵だったと思うことを挙げるなら?
すぎぞー:
- 信じる先を決めて、ブレない
僕はTACと心中すると決めていました。いろんな予備校の解法やネットの情報を見て回る方もいますが、自分はそういう器用なタイプじゃない。だから「ここだけ」と決めて、情報の海に溺れないことを意識してました。 - 基本の反復で、取りこぼしを防ぐ
得意科目で確実に点を積んで、苦手科目は「最低限ここだけは落とさない」を徹底する。飛び道具じゃなくて、地味な繰り返しの積み上げですね。
あと、これは感覚なんですけど
「アドレナリンが出てる時期にやり切る」って大事ですね。
一次は量も多いので、波に乗れないと厳しいと思います。
次回予告
次回は
「二次試験との相性最悪からの突破」「勉強会に救われた理由」
について伺います。
4年間の中で最も苦しかった二次対策。
すぎぞーさんはそこで”仲間”と“プロセス”の価値に気づきます。
診断士二次試験インタビュー|“迷いを減らす”ことで点が伸びた解法プロセス|STCラボ
