【合格体験記】60事例解いても点数が上がらない。診断士二次試験、2週間前に見えたもの(第2回/全3回)
一次試験の翌日から始めた2ヶ月半の死闘。辻井先生の「初見の問題を解き続けろ」という教えを信じ、60事例超を1日も欠かさず解き続けた。
周りが60点を取る中、自分だけ点数が伸びない絶望。それでも踏ん張れたのは「あと2ヶ月半」という期限と、仲間の存在。試験2週間前、ようやく見えたパターン認識。
しかし本番、事例Ⅳでパニック――「退出しようかと思った」修羅場。予備校の解答と全部外れ「今年は無理」と思ったのに、開示されたのは合格の文字。中小企業診断士二次試験は、「正解のない試験」だった。
このインタビューは全3回です。この記事は第2回・二次試験編です。
二次試験は「何を書けば点になるか」が見えなかった
――一次試験の翌日から二次対策を始めたそうですね。
はい。自己採点で「多分受かった」と確信したので、1日の猶予もなく翌日からとりあえず、財務特訓講座みたいなのがTACにあったんで、それを申し込みに行って。それで翌日から事例Ⅳはずっとやってましたね。
――最初に感じた二次試験の難しさは何でしたか。
捉えどころがないところです。「何を書いたら点数が取れるのか」っていうのが、最初1ヶ月半はずっと悩んでいました。一次試験のように正解が明確に示されておらず、何が正解なのか公表されていないという不確実性が最大の壁でした。
実は2025年1月にTACの演習で前年度と前々年度の過去問を解いていたのですが、結果は散々で。適当に自分の思いつくことしか書けてなくて、多分その時で20点とか30点とかそんなもんだったような気がして、この時点で二次試験は全く歯が立たないと実感していました。
――事例Ⅳは一次の財務会計と違いましたか。
全然違いますね。全くわけわかんなかったので。CVP分析とか被っている論点は一部あるんですけど、全体的にはほぼ違うので「これ本当にまずいな」と思って。だからこそ、一次試験の勉強中に二次の勉強が全くできなかった焦りもあり、終了翌日から毎日やり続ける必要がありました。
事例Ⅳは毎日、事例Ⅰ〜Ⅲは初見問題を反復
――二次対策ではTAC池袋校の辻井先生のクラスに通われたそうですが、何を学びましたか。
「初見の問題を解き続けろ」ということです。なるべく初見の問題に触れた方がいいと言われたので、同じ問題を繰り返すのではなく、その教えを信じて2ヶ月半やり抜きました。
――毎日の学習ルーティンを教えてください。
毎日その1事例プラス、事例Ⅳを解いていました。事例ⅠからⅢを毎日1事例ずつ回し、それに加えて事例Ⅳを毎日1事例というルーティンを、一日も欠かさず続けました。
――教材はどれくらい用意したのですか。
TACの過去3年分のオプション問題集を全て購入しました。事例Ⅳは過去問を2007年か2008年頃まで遡りましたね。やるもんがなくなったらもう一度同じ問題を解き直し、トータルで60事例以上を解きました。
――なぜそこまでやり続けられたのですか。
受かる気がしてなかったから、やるしかなかったんですよね。合格の確信がないからこそ、やり続けるしかないという切実な思いでした。
TACで解法、ふぞろいで得点キーワードを確認
――受験生の定番である「ふぞろいな合格答案」も参照していたそうですね。
はい。「ふぞろい」で、こういったことを書いてれば得点になってる、どういったキーワードを書いたら得点になってるかっていうのを見ていました。そこで、各予備校も多分そうだと思うんですけど、TACの模範解答と「ふぞろい」では点数の取り方が違うことに気づきました。
どれが正解か分からない不確実性に対しては、「TACでは解法を学び、ふぞろいではキーワードを学ぶ」という、両方のいいとこ取りをする戦略を取りました。
点が伸びない時期を支えた試験までの期限と勉強会
――TACの週次演習で、周りの受験生はどうでしたか。
周りは60点を取っているのに、なんで取れるのかなって全然わからなくて。やっても多分点数は上がんない、効果ないんだろうなと思うと、もうすごい嫌でしたね。
――この時期が、二次試験で一番辛かった時期ですか。
もうやめたいなっていうのも、実はなくはなかったです。
――それでも踏ん張れたのはなぜですか。
あと2ヶ月半だったからです。1年とか2年じゃないので、試験まではやってみようと。期限の明確さが踏ん張る理由になりました。
それと、もう一つ大きな支えがありました。辻井先生から「やった方がいい」と言われて、池袋校のストレート生4人でグループを作って授業後にディスカッションをしていました。皆さん結構試行錯誤されてるし、悩まれていて。どういう考え方してるのか聞いて「なるほどね」っていう気づきもあり、苦しんでいるのは自分だけじゃないという共感が、孤独な戦いを支えてくれました。
60事例の先、試験2週間前に見えた設問解釈の型
――そこから霧が晴れる瞬間が訪れたのはいつ頃ですか。
試験の2週間前です。なんとなく「この場合は本文から抜き出さなきゃいけない」とか見えてくるようになったんですよね。60事例を解き続けた先にようやく「型」やパターン認識が体に染み込んできました。
――解答の書き方も変わりましたか。
最初は100字の解答欄を埋められず空白だらけだったのですが、最後にはひらがなを書かないで全部漢字で、キーワードは全部入れるぞって、詰め込めるだけ詰め込んで書くようになりました。この書き方も60事例の中で身についたものです。
――最も重要だと気づいたことは何ですか。
聞いてることに対してまず的確に答える、ということです。「問題点」って言われてるのに課題を書いちゃったりしないよう、下書きの段階で設問解釈を明確にして、そこでもう間違えないように徹底しました。この基本を守ることが合格への道でした。
本番で読みやすさが気になり、書き直しに時間を使った
――しかし本番、想定外の問題が起きたそうですね。
はい、当日になって「あ、やばっ」と思って。ちゃんと書いたら「これ読めないだろうな」と、文字の汚さが気になって消したり書いたり繰り返しました。事例ⅠからⅢまでずっと繰り返していたので、本番の時間をかなりそこに食っちゃいましたね。
練習では「汚くても多分読んでくれるだろう」と思っていましたが、本番の緊張感から「読めなかったら0点」という恐怖が湧いてきました。それでも冷静に修正を続けられたのは、60事例を解き続けた自信があったからだと思います。
事例Ⅳでパニックになっても、最後まで答案を書き切った
――事例Ⅲが終わった段階での手応えはいかがでしたか。
事例Ⅲぐらいまでは、いつもよりかは多分、答えが見えたかなという「いける的」な感覚はありました。60事例の成果を実感できていました。
――しかし、最後の事例Ⅳで悪夢が始まったと。
私は第2問のところでなんか変な計算をしちゃって、ものすごいパニックになりました。何度計算しても合わずに焦る悪循環で、途中、退出しようかなと思いました。もしかしたらもうこれ絶対取れなくって、と頭をよぎりましたが、事例ⅠからⅢで積み上げた点数を最後の希望にして最後まで諦めず、第3問、第4問を「いい加減になっちゃった」と言いながらも書き上げました。
予備校解答と違っても合格。二次試験に唯一の正解はない
――試験後に作成した再現答案を各予備校の模範解答と照らし合わせた結果は?
ことごとく全部外してました。多分もう今年無理だな、落ちると思ってたんで絶対に。忘れないように試験後も二次の勉強を続け、合格発表で落ちたら申し込もうと次のTAC講座の申込直前の準備までしていました。
――しかし、合格発表の結果は「合格」でした。
まずなんか、かなり信じられなかったですね。逆に「え?」って感じでした。後から開示された点数を見ると事例Ⅰが73点だったのですが、予備校の解答と外れていたのになぜこの点数だったのか、理由が未だにそこがわかんないです。
――この経験を経て、二次試験の本質とは何だと思いますか。
「正解のない試験なんだな」っていうのは、身に染みてわかりました。予備校の模範解答と違っても点数は取れるし、完璧な答案でなくても良い。60事例を解き続けた先に掴んだ「型」や「設問解釈の徹底」、精度、そして「諦めない心」のすべてが合格という結果につながったのだと思います。
次の記事
第3回・合格後編 「落ちる」と思っていた合格発表と、その後 →Tさんの合格体験記・全3回
- 第1回|一次試験 ― 情報システムを深追いしなかった判断と1.5年間の学習
- 第2回|二次試験 ― 60事例解いても伸びず、2週間前に見えたもの【現在の記事】
- 第3回|合格後 ― 「落ちる」と思っていた合格発表と、その後
