手応えがなくても合格した中小企業診断士二次試験、信じた型と勉強会
中小企業診断士二次試験を、高田さんは3回受けた。
第1回では、暗記科目に苦戦しながら一次試験を突破した過程を聞いた。一次試験とは違い、二次試験には「解けた」という感覚が残りにくい。他社の解答と重なる部分を見て、ここは取れているかもしれないと思うことはあっても、「手応えがあった」とは思えない。
その手応えのなさの中で、高田さんは何を信じ、何を変え、何を続けたのか。
中小企業診断士二次試験は、手応えがなくても合格できるのか
—— 二次試験はどうでしたか。
「二次試験は、全部で3回受けました。
手応えがあった年は、やっぱりないですね。各予備校の解答を見て自分の解答と重なるところがあって、ここは取れているのかな、ぐらいの感じです。
手応えがあった、とは多分誰しもが思わないんじゃないかという印象です。」
—— 一次試験との違いは何でしたか。
「一次試験より、二次試験の方が好きでした。暗記があまり問われる問題じゃないので。」
一次試験では、経営法務や経営情報システムなどの暗記科目に苦戦した。二次試験は、暗記そのものよりも、与件文を読み、設問に答える力が問われる。その点では、一次試験より向き合いやすさがあった。
手応えはなくても、点数は少しずつ近づいていた
—— 二次試験の点数はどう推移しましたか。
「1回目は212点でした。
2回目は234点。3回目が253点です。」
高田さんが二次試験を受けたのは、2年目、3年目、5年目の3回だった。
点数の推移を整理すると、次のようになる。
| 受験年 | 二次試験の回数 | 結果・点数 |
|---|---|---|
| 2年目 | 1回目 | 212点・不合格 |
| 3年目 | 2回目 | 234点・不合格 |
| 5年目 | 3回目 | 253点・合格 |
合格した5年目の事例別得点は、次の通り。
| 事例 | 得点 |
|---|---|
| 事例Ⅰ | 47点 |
| 事例Ⅱ | 71点 |
| 事例Ⅲ | 53点 |
| 事例Ⅳ | 82点 |
—— 合格した年の内訳をどう見ていますか。
「今回は、事例Ⅳにかなり助けられました。4科目の点数が凸凹ですね。」
事例Ⅰは47点、事例Ⅲは53点。一方で、事例Ⅱが71点、事例Ⅳが82点まで伸び、合計253点で合格点を超えた。
苦手意識はない。でも点数では事例Ⅰが低かった
—— 苦手な事例はありましたか。
「苦手という意識を持っている科目はありませんでした。会計事務所で働いていたこともあり、特に事例Ⅳは得点を稼ぐことができる科目でした。」
—— 事例Ⅰ〜Ⅲは点数では違いがありましたか。
「点数でいうと、演習含め、事例Ⅰが低く、事例Ⅱは点数が平均して高く、事例Ⅲは可もなく不可もなく。苦手というより、点数が低いのは事例Ⅰでした。」
苦手意識と点数は、必ずしも一致していない。苦手だと思っていなくても、点数としては事例Ⅰが伸びにくい。合格年も、事例Ⅰは47点だった。
二次試験の設問分析は、設問だけをコピーして電車で読む
—— 役に立った勉強法は何ですか。
「当時の勉強仲間に教えてもらい、過去問や模試、予備校の演習の設問の部分をコピーして、電車内のスキマ時間に設問分析をしていました。知識の引き出しが、速くなったと思っています。」
—— 設問分析で何が変わりましたか。
「悪く言えば、型にはまりすぎるところもあり、自分の思考の癖で、偏った知識を引き出してしまうところがありました。
ただ、書き出すことで自分の思考の癖や足りない知識を知り、勉強会で修正できたことは得点の伸びに繋がったと思います。」
設問を読むだけで、何を問われているのか、どの知識を使うのかを考える。解答を書く前の段階で、引き出しを開ける練習を重ねていた。
勉強会で、自分の思考の癖に気づく
—— 勉強会はどうでしたか。
「TAC池袋校の辻井先生のクラスでは、クラス内の仲間とグループを作り、勉強会を開催しています。これがなかったら絶対に受からなかったと思います。
クラスは、TAC池袋校の辻井先生の評判を聞いて集まった受験生たちが多く、基本的に意識が高い方が多かったです。絶対合格したいという強い思いを持ったグループの仲間とは、一生涯続く関係です。現在も定期的に飲み会を開催して情報共有や親睦を深めています。」
—— 勉強会で何を見てもらいましたか。
「自分の思考や文章の書き方の癖はどうしてもあります。そういう癖を仲間内で意見を出して、この書き方は良くないんじゃないか、と言ってくれるところがすごく勉強になりました。」
—— 仲間の答案から学ぶこともありましたか。
「勉強会の仲間の解答も一緒に見せ合います。解答だけじゃなくて、その思考のプロセスも仲間だから聞けるんです。これ、どうしてこう書けたの?みたいな。そういったことも学びが多かったですね。」
—— 勉強会はモチベーションにもなりましたか。
「毎週末に集まる前に、他社模試や過去問を解いて、それをみんなで見せ合って解答を検討しあっていました。どんなに平日に時間がなくても週末までに問題を解いて勉強会に参加しなければいけない。それがモチベーションを維持できたことに繋がったかな、と思います。
辻井先生の講義はとても充実した講義であることはもちろんなのですが、それだけで受かるわけではない。やっぱり仲間がいたのが大きかったと思います。」
勉強会では、答案だけでなく、答案に至る思考プロセスも確認できた。自分ひとりでは気づきにくい癖を、仲間のフィードバックで見直していた。
100字トレーニングを使ったライティング訓練
—— TAC以外にどのような勉強法をしましたか。
「EBAという予備校の100字トレーニングもやっていました。毎日一問出るもので、お題に対して100字で答えなさい、というものです。設問分析のトレーニングになると思い利用していました。ひと月3,000円ぐらいのサブスクのプランだったと記憶しています。」
設問を読み、限られた字数で答える。100字トレーニングは、二次試験で問われたことに短く答える練習になっていた。
TACの辻井先生の型を信じて、二次試験に向き合った
—— 二次試験の答案は、どのように書いていましたか。
「私は、TAC池袋校の辻井先生に教えられたやり方で解こうと決めていたので、その型を信じてやっていました。
たとえば、外部環境や課題、問題点を書いて、自社の強みを活かし、誰がその対応をして、結果としてどういう効果が出るか。そういう解答の流れの型を決め、その要素を必ず与件本文から拾う、というプロセスを徹底していました。
もちろん、他のやり方もあると思います。でも、私は辻井先生のやり方で解くと決めていたので、そこでいろいろな方法に振り回されないようにしました。最終的なゴールは合格することなので、自分が決めたやり方を信じて進むことが大事だと思います。」
二次試験の勉強法には、いくつもの考え方がある。
高田さんは、その中でTAC池袋校の辻井先生の型を選び、答案の書き方を固定した。ほかの解き方を否定するのではなく、自分が選んだ方法を信じて、合格に向けて積み上げていった。
事例Ⅳは毎日30分、82点で二次試験合格を支えた
—— 事例Ⅳはどう勉強しましたか。
「事例Ⅳは必ず毎日30分はやる、というのは徹底しました。大問を一問解く。お題は過去問、他社模試、TACの演習の問題、そのどれかです。」
—— なぜ毎日やっていたのですか。
「事例Ⅳは得意意識はあったのですが、ケアレスミスが怖い。逆に事例Ⅳを落としたら、もう落ちると思っていました。
必ず検算を2回ぐらいは、毎日の30分の勉強の中でする癖をつけていました。」
得意だからこそ、落とせない。合格年の事例Ⅳは82点。事例Ⅰと事例Ⅲが伸び切らなかった中で、事例Ⅳが合格点を支えた。
9月以降は、休憩時間を短くして一日4事例
—— 直前期は何をしましたか。
「9月以降、特に5年目は、週末に本試験よりもハードな時間割で一日4事例を解いていました。80分解いて10分休憩、また80分解いて10分休憩。お昼も30分ぐらいにして、というサイクルで繰り返していました。
本番より短い休憩時間にしていたので、本番であまり疲れを感じず、集中力も最後まで持ったなと思いました。これは、やってよかった対策だったと思います。」
—— ほかに本番対策はありましたか。
「とにかくルーチン化です。試験は一秒も無駄にできないので。試験前のペンの並べ方、問題用紙のホッチキスの取り方の練習、試験が始まる前の動き、服装、食べ物やブドウ糖を取る時間もルーチン化していました。」
職場で見た合格発表。「よっしゃ」と声が出た
—— 合格発表はどう見ましたか。
「合格した時は、職場で見ていました。」
—— 結果を見た瞬間はどうでしたか。
「よっしゃ、となって。声が出ちゃいました。職場なのに。
やっと思いが報われたと思いました。」
—— 最初に誰へ伝えましたか。
「ずっとサポートしてくれたのは妻なので、妻に電話したんですけど、出なくて。
先に連絡が来た両親に、受かったと伝えました。その後、折り返しの電話がかかってきて妻にも伝えました。」
二次試験は、最後まで「解けた」と言い切れる試験ではなかった。設問分析を続け、勉強会で思考の癖を見直し、事例Ⅳを毎日解き、決めたやり方を信じた。その積み重ねの先に、職場で声が出る瞬間があった。
次回予告
第3回では、5年目で「絶対受かる」と決めた背景、家族の支え、仕事をしながらの時間捻出、そして独立診断士として歩き出した現在を聞きます。
