一次、二次と試験そのものと格闘してきましたが、振り返ってみると、一番きつかったのは「自分自身との戦い」だったと内海さんは言います。

仕事をしながらの勉強時間の捻出。周囲に理解されているのか分からない孤独感。そして、「今年もダメだったらどうするんだろう」という、答えの出ない問い。

二次試験は、単なる努力の総量では測ってくれません。だからこそ、うまくいかなかった理由を感情抜きで直し続けるしかなかった。派手な逆転劇はない。あるのは、黙々と修正を重ねた一年間だけでした。


初年度の二次試験。「あ、これはダメだ」と悟った瞬間

――初年度の二次試験は合計228点。事例Ⅳ(財務)は41点という結果でした。

結果を見たとき、「あ、これはダメだな」ってすぐに思いました。事例Ⅰ~Ⅲはそこそこ書けた感触があったんですけど、財務だけは試験中から「何を言っているのかさっぱり分からないな」という状態だったので。

――一次試験を突破している以上、知識はあるはずですよね。

知識はありました。苦手意識もなかったんです。でも、二次の事例Ⅳを前にすると「あれ、全然違うぞ」と。自分が知っている「つもり」になっていただけなんだな、と痛感させられました。

「これ、続ける意味あるのかな?」生活から楽しさが消えた日々

――その結果を受けて、心が折れそうになることはありませんでしたか?

折れそうというより、「これ、続ける意味あるのかな?」とは考えましたね。仕事は普通に忙しいし、帰宅して勉強して、また翌日仕事……。正直、生活に楽しさはなかったです。

――ご家族や周囲への申し訳なさを感じることも?

ありました。貴重な時間を使わせてもらっているのは事実ですから。応援されているのかどうかも、正直よく分からなくて(笑)。だからこそ、「短期間で一気に」みたいな甘い考えは捨てました。ただ静かに、やるしかないな、と。

財務を「根本から」やり直す。遠回りに見えた王道

――そこから、財務を一からやり直す決断をされました。

問題集を解いても、また同じところでつまずくのが分かっていたんですよ。だから計算の練習ではなく、「そもそもこの指標は、経営において何を意味しているんだっけ?」という根本に戻りました。

具体的には、MBAのアカウンティングの本を読み込みました。「式」よりも「意味」。この数字が何を表していて、それがどう経営に繋がるのか。一見遠回りですが、あれをやらなければ二次の財務突破は無理だったと思います。

二次試験の「型」は、どこまで頼るべきか?

――二次試験特有の「型」については、どう向き合っていましたか。

最低限ですね。「問題文を読み、設問を確認し、与件から強み・弱みを拾う」。それだけです。

あれこれ盛り込もうとすると、時間が足りなくなる。とにかく「時間内に書き切る」ことを最優先にしていました。

――評価を欲張らなかった、と。

はい。「評価されそうなことを書こう」と考えなくなりました。聞かれたことに、ただ答える。それだけに集中しました。

合格点「241点」を見た瞬間。込み上げたのは喜びではなく……

――合格した2年目。番号を見つけたときはどんな気持ちでしたか?

全然ダメだと思っていたので、番号を何回も確認しました。「あ、あるな」「あ、まだあるな」って(笑)。

嬉しいというよりは、「終わった……」という安堵感が大きかったです。やっと、この生活が一区切りついた。その解放感でいっぱいでした。


手段は、正直何でもいいと思うんですよ。予備校でも独学でも。

でも、途中で「あれもこれも正解に見える」状態になると、一気にブレてしまいます。自分が選んだやり方があるなら、大きくは変えずに、「どこがダメだったか」だけを静かに直していく。

派手さはありませんが、それが一番、再現性のある合格への道だと思います。

第1回 「独学でいける」と思った根拠はどこに?内海さんが語る一次試験突破のリアル
第2回 「いけたはず」が一番危ない。手応えと結果が食い違う二次試験の正体

(連載・完)

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faun
大手金融機関で、20年以上主に業績の厳しい中小企業を担当。現在は本部で業績の厳しい取引先に対する案件審査、営業店指導に従事。お世話になった中小企業のお力になれればと思い、中小企業診断士の資格を取得。