合格までの道のり。そして、その先に広がった新しい世界

一次試験の突破、そして二次試験での葛藤。

膨大な知識を身につけ、記述の型を磨く日々は、まさに試験そのものとの戦いでした。

しかし、中尾寿孝さんの挑戦を振り返ると、そこには常に一人の「生活者」としての姿がありました。

仕事の繁忙期、家族との時間、そして自分自身の学習時間。

限られた時間の中で、どのようにバランスを取りながら努力を続けてきたのでしょうか。

そして、長い挑戦の先で合格という結果を手にした時、見えた景色とはどのようなものだったのでしょうか。

資格取得後、中尾さんが見据えているのは、単なる肩書きの獲得ではありません。

中小企業診断士としての活動を通じた、自分自身の成長と新たな可能性です。

今回は、長い受験生活を乗り越えた中尾さんが語る、「合格後の世界」についてお話を伺いました。


家庭と仕事の両立。限られた時間で「集中」を作り出す

毎日の小さな積み重ねが生んだ学習時間

Q:平日の忙しい日々の中で、どのように勉強時間を捻出していましたか。

毎朝電車の中で30分、確実にテキストを読んだりしていました。

仕事終わってからカフェに寄って1時間ぐらい勉強したりもしましたが、それは毎日できていたわけではありません。

ただ、朝の30分はほぼ毎日やっていましたね。

仕事をしながら資格取得を目指す場合、まとまった時間を毎日確保することは容易ではありません。

中尾さんが大切にしたのは、短い時間でも継続すること。

毎朝30分という習慣を積み重ねることで、着実に学習時間を確保していきました。


家族との時間を大切にしながら勉強を続ける

Q:勉強と家庭生活のバランスを、どのように調整していましたか。

土日は朝早く起きてカフェに行って、朝集中して3~4時間やって、昼は家族サービスをして、晩ご飯食べた後にまたカフェに出かけて2~3時間やる。

朝と夜をカフェでやるようにして、昼は家族サービスするようにしました。

子供も土曜は起きてくるのが遅いので、朝7時から10時まで勉強したりして時間をうまく作っていましたね。

受験期間中、すべての時間を勉強に充てるのではなく、家族との時間も大切にする。

中尾さんは、生活そのものを大きく崩すのではなく、時間の使い方を工夫することで両立を実現しました。


職場には必要な範囲で共有する

Q:周囲に診断士を目指すことを伝えていたのはなぜですか。

私は基本黙っていましたね。

ただ、TACの講座が平日にある時は早く帰らないといけなかったので、職場には「診断士を目指すのでこの日は早く帰ります」と宣言していました。

少数派かもしれませんけど、そうしないと仕事との両立が厳しかったので。

仕事と資格勉強を両立するためには、周囲の理解を得ることも重要です。

中尾さんは、必要な場面では目的を明確に伝え、自分自身が学習時間を確保できる環境を整えていました。


合格の先にあった世界。コミュニティが変えた自分の価値観

合格発表の日。ホテルで叫んだ「よっしゃ!」

Q:合格の瞬間、どのような気持ちでしたか。

ちょうど九州に出張していた日でした。

ホテルの中で合格しているのを確認して「よっしゃ!」って声を上げて喜びました。

ホテルの中で、動き回ってかなり喜んでいましたね(笑)。

その後のお客様との懇親会では合格の話はしませんでしたが、心の中はテンション爆上がりで、すごい楽しい出張だった思い出があります。

久々に、心があれだけ動かされる経験ができました。

3年間にわたる挑戦。

その努力が報われた瞬間は、中尾さんにとって大きな達成感を味わう出来事となりました。


資格取得後に広がった人とのつながり

Q:資格取得後、ご自身の内面や環境にどのような変化がありましたか。

STC実務従事に参加、その後プロコン、研究会などに参加していますが、人との繋がりがすごく広がりました。

特にSTC実務従事では七人のメンバーでしたが、建設的に意見を出し合えるチームだったので、とても有意義な時間で楽しかったです。

本業以外に自分の意志を表現できるサードプレイスがあることは、自分にとってすごく健全だと感じています。

本業とは別に活動していることが、巡り巡って本業にも生きている感覚があります。

中小企業診断士という資格の魅力は、資格取得そのものだけではありません。

異なる業界や経験を持つ人たちと出会い、新しい価値観に触れること。

中尾さんにとって、診断士活動は「本業とは別の居場所」でありながら、結果的に本業にも良い影響を与える存在になっています。


これから中小企業診断士を目指す方へ

Q:これから中小企業診断士を目指す方へ、メッセージをお願いします。

勉強は自分でコツコツやるしかありませんが、特に2次試験の独学は結構辛いと思います。

予備校に通われることをお勧めします。

講師から中小企業診断士取得後のキャリア展望を聞くなど、モチベーションをどう保つかを意識してください。

中小企業診断士は実務の場やコミュニティが凄く広がります。

資格そのものだけでなく、取得した後にどんな未来が待っているのか、その体験談を聞くことで夢を広げていただければと思います。

私はTAC池袋校で2次試験の最終講義を受講しましたが、その時の辻井講師からの最後のエールはとても印象に残っています。

キツい状況を心から楽しもうと思いました。

合格というゴールは、決して終点ではありません。

資格取得によって、新しい人との出会いや活動の場が広がり、自分自身の可能性をさらに高めていくことができます。

中尾さんの経験は、中小企業診断士試験が単なる資格試験ではなく、その先の人生やキャリアを広げるきっかけになり得ることを示しています。

「書く力」が問われる二次試験。中村さんが向き合った最大の壁

一次試験を突破した合格者たちが、口を揃えて「最大の関門」と語る二次試験。

一次試験が幅広い知識を問う試験であるのに対し、二次試験では、与件文から企業の課題を読み取り、論理的な文章で解決策を示す力が求められます。

中村俊彦さんも、初めて二次試験の問題に触れた時、大きな戸惑いを感じた一人でした。

「書くのが苦手で、やべえなと思いました」

計算問題には自信があった一方で、抽象的な文章を構築することへの苦手意識。

その壁を乗り越えるため、中村さんはどのように自分なりの「解答の型」を磨き上げたのでしょうか。

今回は、記述への苦手意識を抱えながらも、合格への道筋を築いた中村さんの二次試験対策について伺います。


「書くのが苦手」を克服する。LECとクレアールを併用した理由

Q:LECの二次試験ベーシック講座で初めて問題に触れた時、どのような印象を持ちましたか。

やべえなと思いましたね。

結構これ書くの得意じゃないんで。計算とかは得意なんですけど、書くのが苦手で。

文章は確かに読めるけど、これはちょっと厳しいなっていうのが正直な感想でした。

一次試験対策と並行しながら、2月から始まった二次試験対策。

中村さんはLECの講座を受講する一方で、クレアールも併用するという戦略を取りました。

Q:LECだけでなくクレアールも併用しようと考えた理由は何ですか。

比較的リーズナブルで、あと答案の添削回数が多いので。

LECだけだと答案練習が不足するかなと思い、ちょっとプラスして答案添削の練習を増やすために、クレアールを併用しました。

二次試験では、知識だけではなく「実際に答案を書く練習量」が重要になります。

中村さんは、添削機会を増やすことで、実戦力を高める環境を自ら整えました。


根拠なき不安を解消する。記述の「型」と「手順」の確立

Q:二次試験対策で、特に点数が安定するようになったきっかけはありますか。

LECの立花先生の指導が一番伸びるきっかけになったと思います。

与件に必ず根拠があるということや、文章の書き方として「どうしてこうなる」というイメージで書くこと。

結果だけじゃなくて理由も書くとか、あとは多面的に回答する指導をされたのが大きかったです。

150字の解答をただ埋めるのではなく、50字×3つという構成で複数の視点を盛り込む。

この考え方を身につけたことで、解答の論点が大きく外れることを防ぐ力を養いました。

単なる知識の再現ではなく、「なぜそう考えるのか」という根拠を意識した答案作成。

それが、中村さんの解答力を高める大きな転機となりました。


事例Ⅳも「型」を作る。手順を固定して本番に挑む

Q:事例Ⅳの計算問題について、本番ではどのような手順で臨みましたか。

事例Ⅳについては、金城先生の講座がわかりやすかったです。

行き当たりばったりじゃなくて、ある程度こういう手順で解くというマニュアルをしっかり身につけることが良かったですね。

毎回同じ手順で型を決めて解くようにしました。

事例Ⅳでは、計算能力だけではなく、本番の限られた時間の中で正確に処理する力が求められます。

中村さんは、問題ごとの対応をその場で考えるのではなく、解答手順そのものを「型」として身につけました。


制限時間との戦い。答案作成までの時間配分を徹底

Q:事例ⅠからⅢにかけて、答案作成の時間配分はどのように決めていましたか。

基本は答案を書く時間を1問10分程度に設定していました。

全部で4問ずつだったので、答案を書く時間に40分、読むのと考える時間に残り40分という配分です。

設問から先に読んで、こんな内容を聞かれているんだとイメージしてから与件文を読み、下書きをしていく感じでした。

この発言からは、冷静に「型」を適用し、執筆時間と考える時間を明確に分けていた戦略性が伝わります。

初めて問題を見た時に感じた、

「やべえな」

という不安。

それは、徹底した手順の反復によって、試験会場で発揮できる武器へと変わっていきました。


次回予告

次回は、合格までの道のりで中村さんが直面した葛藤、試験当日の出来事、そして合格後に見えた新たな可能性についてお話を伺います。

次回記事中小企業診断士合格後のリアル。勉強で削った生活と出会いで変わった景色

ABOUT ME
faun
大手金融機関で、20年以上主に業績の厳しい中小企業を担当。現在は本部で業績の厳しい取引先に対する案件審査、営業店指導に従事。お世話になった中小企業のお力になれればと思い、中小企業診断士の資格を取得。