プロフィール

  • 氏名:りょうすけさん
  • 合格年度:2025年度
  • 受験期間:4年間
  • 年齢:30歳
  • 勉強方法:TAC通学(辻井クラス)+勉強会
  • 職業:日用品メーカー勤務
  • 一次試験受験回数:2回
  • 二次試験受験回数:4回

中小企業診断士一次試験は、「予備校へ通えば受かる」「勉強時間を積み重ねれば突破できる」と思われがちです。しかし、4年間の受験生活を振り返るりょうすけさんのお話から見えてきたのは、それほど単純なものではありませんでした。

学生時代から抱き続けていたマーケティングへの興味をきっかけに受験を決意し、TACへ通学。仕事帰りには有料自習室へ向かい、毎日2時間以上の勉強を続けました。それでも、「勉強した時間の多さ」に満足することはありませんでした。勉強時間を記録し、科目ごとの偏りを分析し、試験直前にはスマートフォンから娯楽アプリを自ら削除する――。

誰もが真似したい派手な勉強法ではなく、自分を律する仕組みを少しずつ積み重ねていくことが、りょうすけさんらしい受験勉強スタイルでした。

その積み重ねは、どのようにして生まれたのでしょうか。

「マーケティングを学びたい」。その思いが診断士受験の原点だった

――中小企業診断士を目指したきっかけを教えてください。

「マーケティングを学べる学科が第一志望でしたが、願いかなわず商学部ではあるものの、会計学科へ進学することになりました。

社会人になってからも『いつかマーケティングを勉強したい』という気持ちはずっとありました。

そんなとき、同じ部署の派遣社員の方が税理士資格の勉強をしていて、『働きながら資格を取るという選択肢がある』と気づくことができました。

マーケティングを勉強できる資格がないかを調べるなかで、中小企業診断士の存在を知り、一週間ほどでTACの中小企業診断士講座に申し込みました。」

資格そのものへの憧れから受験を決めたわけではありませんでした。マーケティングを体系的に学びたいという思いが先にあり、その手段として中小企業診断士を選んでいます。

「知ってから一週間で申し込んだ」という行動の早さも印象的ですが、それは学生時代から温め続けてきた思いがあったからこその決断だったのでしょう。

――受験を決めた当時は、どのような状況でしたか。

「結婚もしていなくて、一人暮らしだったので、新たな挑戦をしやすい状況でした。

仕事は経理を担当していて、簿記2級も取得していました。中小企業診断士試験には財務会計や事例Ⅳがあるので簿記の知識も活かせると思いました。

ただ、経理をずっと続けたいという気持ちはあまりなく、次のステップへと進む手段として中小企業診断士を目指しました。」

当時27歳。一人暮らしで、自分の時間を比較的自由に使える環境にありました。一方で、経理の仕事だけを続ける将来像は描いていなかったといいます。

りょうすけさんにとって中小企業診断士への挑戦は、資格取得そのものが目的ではありませんでした。「次のキャリアを切り開くために学ぶ」という思いから始まった挑戦だったことが分かります。

毎日2時間勉強しても、「これで十分」とは思わなかった

――一次試験の勉強は、どのようなペースで進めていましたか。

「一次試験は2回受けましたが、1年目は毎日2時間以上勉強をしていました。

仕事が終わったら、そのまま新宿の有料自習室へ行っていました。

家へ帰ると寝てしまうと思ったので、最初から帰らないようにしていました。

週末はTACの授業があるので、最低でも5時間くらいは勉強していました。」

毎日2時間以上という数字だけを見ると、特別多い勉強量には見えないかもしれません。

しかし、その背景には、「家へ帰ると勉強できない」という自分自身の特性を冷静に分析し、勉強できる環境を先に整える工夫がありました。

意思の強さだけに頼るのではなく、自然と机へ向かえる状況をつくる。その考え方は、この後の受験生活でも一貫しています。

勉強時間は、「頑張った証拠」ではなく分析データだった

――勉強を続ける中で、工夫していたことはありますか。

「勉強時間を毎日記録していました。

『Studyplus』というスマートフォンのアプリを使って、科目ごとにどれくらい勉強したかが分かるようにしていました。

満遍なく勉強しているつもりでも、実際には科目ごとに勉強時間の偏りがありました。記録を見返すと、『今週は企業経営理論ばかりやっているな』ということが分かるので、それを見ながら勉強時間を調整していました。」

勉強時間を記録する受験生は少なくありません。

しかし、りょうすけさんが重視していたのは、「今日は○時間勉強した」という達成感ではありませんでした。

時間を見える化することで、科目ごとの偏りを客観的に把握し、学習計画を修正するための材料として活用していたのです。

勉強時間は努力の証ではなく、改善するためのデータでした。

だからこそ、毎日記録を続けることに意味があったのだと思います。

「誘惑を断つ」ことも、自分との約束だった

――試験直前は、生活面で変えたことはありましたか。

「試験前はスマートフォンのゲームやSNSを全部消しました。

また始めればいいだけなので、迷いはありませんでした。」

一見すると小さな行動に思えるかもしれません。

しかし、受験勉強では「勉強する時間を増やすこと」以上に、「勉強を妨げるものを減らすこと」が難しい場面もあります。

りょうすけさんは、意志の力だけで誘惑に勝とうとはしませんでした。

誘惑そのものを生活から取り除くことで、勉強へ集中しやすい環境を整えていたのです。

前半で紹介した「家へ帰る前に自習室へ向かう」という工夫も、同じ考え方だったのでしょう。

「自分ならどうすれば続けられるのか」を考え、そのための仕組みを一つずつ作っていく。そうした積み重ねが、4年間の受験生活を支えていました。

TACと勉強会。それぞれに役割があった

――TACや勉強会は、どのように活用していましたか。

「TACでは知識を体系的に学び、勉強会では他の人の考え方を知ることができました。

一人では気付けない視点があるので、勉強会はすごく学びになりました。」

予備校へ通ったから合格できた。

勉強会へ参加したから合格できた。

りょうすけさんのお話を聞いていると、そのような単純な話ではないことが分かります。

予備校は知識を整理する場所。

勉強会は、自分にはない視点に触れ、考え方を広げる場所。

それぞれの役割を理解したうえで活用していたことが、学習の質を高めることにつながっていました。

学習環境を「用意してもらう」のではなく、「目的に応じて使い分ける」。

その姿勢にも、りょうすけさんらしさが表れています。

一次試験合格は、ゴールではなく次のスタートだった

――一次試験に合格したときのことを覚えていますか。

「合格したときは、もちろん嬉しかったです。

でも、『やっとスタートラインに立てた』という気持ちの方が強かったですね。」

一次試験を突破すると、大きな達成感があります。

一方で、りょうすけさんはその先に待つ二次試験の難しさも理解していました。

だからこそ、合格に満足するのではなく、すぐに次の目標へ気持ちを切り替えられたのでしょう。

一次試験を振り返ると、印象に残るのは特別な勉強法ではありません。

毎日記録を続けること。

勉強できる環境を整えること。

誘惑を減らすこと。

そして、自分に合った方法を少しずつ改善し続けること。

一つひとつは決して派手ではありませんが、その積み重ねこそがりょうすけさんの一次試験突破を支えていました。

次回予告

一次試験を突破したりょうすけさんを待っていたのは、「努力したのに結果が出ない」という二次試験特有の壁でした。

次回は、4年間の挑戦の中でたどり着いた「努力の配分」という考え方と、事例Ⅳへ集中するという大きな戦略転換について伺います。

ABOUT ME
アバター画像
浦 美和子
人材派遣会社で営業担当として、採用、配属後のフォロー、職場改善などに従事。2017年に中小企業診断士と国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得。現在は独立開業し、中小企業の経営支援を行う。得意分野は、人事労務・人材育成、事業承継など。